2022年11月に完成した大下条駐在所の落成式に出席した帰り道、飯田市の伊豆木にある旧小笠家書院と小笠原資料館に立ち寄りました。管理人の木下さんに書院や小笠原家の暮らしについてガイドをして頂きました。詳しく教えて下さり、ありがとうございました。
書院は1624~1634年頃完成したようで、築400年。修理して復元している部分もあるようですが、主要構造部は保存状態が良く、当時の木材も使われています。建築物の1/3は、崖上に突出した懸造りと呼ばれるもので、全国的にも珍しい遺構のようです。私は懸造りに興味が出てしまいますが、日本古来の木造建築好きや歴史好きの方も楽しめるかと思います。
書院の反対側にある小笠原資料館は世界的な建築家 SANAA(妹島和世氏+西沢立衛氏)の設計で1999年に完成しています。小笠原資料館の展示空間は地面から持ち上げられて、6本の柱で支えれています。SANAAによると室町時代からある城山の中腹に敷地があり、敷地の形状自体が歴史的な遺構のひとつであると説明されています。建物で視線が途切れるのではなく、背後にある山、敷地の隅も見通せるように設計されています。また、展示空間へのアプローチは山側にスロープが配置され、内部に入ると書院の漆喰壁とこけら葺き、周囲の風景が目に入ります。小笠原資料館は展示物だけではなく、環境そのものを体験できるようになっています。敷地自体を歴史的遺構と捉える着眼点、敷地環境の読み取り方、建物と周辺の距離の取り方、多くの学びがあります。
今回は寒い時期でしたが、温かくなった頃も行きたいと思える場所です。
書院の前にある桜を見たいなあ。
[長野市|建築設計事務所|中山建築設計事務所]